2020年03月18日

■『差別者のボクに捧げる!ライ患者たちの苦悩の記録』著/三宅一志

いよいよ桜の開花の話題も飛び込みました。
暖かくなり、これから四国遍路の方々の白装束姿がいっそう増える今日このごろです。
しかし例の感染症が気になって、気軽にお花見で宴会というのはちょっと…
という昨今ですね。

以前のブログ「和うるしの日記」では、わたし宮崎の読んだ本について書いた、BOOK というカテゴリを作っていました。
久しぶり(8年ぶり!)に、和うるしの日記2でも書いてみたいとおもいます。


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病を得たり、障害を持つ身になれば、ほんらい人はいたわりを受け、療養されるもの…。
世間ではそう啓蒙されていても、実際はそうではない。
周囲を見渡し、もうそのことを知っていたはずだった思春期時代に読んだ、このルポルタージュは、たいへん衝撃的なものでした。
現在はハンセン病と呼ばれる、らい病。
昔は有効な治療法もなく、罪を持った人が罹る、もしくは遺伝病などとも考えられていたそうです。
発病者が出た家は、社会的抹殺されるため、患者は泣く泣く家族と別れ、神仏に頼るために、その多くの人たちが四国遍路の旅へ出ました。
現実は治癒の見込みはなく、それはふるさととの永遠の別れでもあり、四国遍路は死出の旅でもあったのです。
遍路中に病は進行し、特に香川県には多くの末期患者が集まり、野路で亡くなっていったということはまったく知りませんでした。
(中でも、工房のある善通寺市は弘法大師の出生地でもあり、ここで息を引き取る方も多かった)


罹患した人を指すさまざまな侮蔑言葉もあり、わたしの子供時代、行儀のわるいことをすると、「へんどの子みたいなことせえへんの!」と年配者に言われた事があったのですが、のちにその言葉もその一つと知りました。

1873(明治6)年にアルマウェル・ハンセンにより、らい菌が発見され伝染病ということが分かりました。
しかし極めて弱い感染力のうえ、菌に対する免疫が偶然弱い人、栄養状態のよくない貧しい人がまれに発病すること多かったのですが、日本では「すぐに移る」「患者は隔離せよ」という流れになっていきました。
日露戦争に勝利し、富国強兵にすすむ日本は、「無らい県運動」なる制作を打ち出し、各地に療養所が作られました。
それはしだいに「強制収容」という形になり、ひっそりと暮らしている患者の存在をあの手この手であぶり出し、無理矢理トラックに乗せて連行する… という形になっていったのです。


この本を30年ぶりに読み直しました。(現在は絶版)
若い時には分からなかった、医学・政治的な利権に関することなども、今なら分かるだろうと…。
近代のらい対策の歴史で欠かせないのは、生涯をらい病患者の救済にささげ、数々の受賞をうけた光田健輔という医師の存在です。
日本初の国立療養所の所長に就任し、いろいろな活動に奔走し「無らい県運動」の開始にもかかわった彼ですが、彼自身の偏見や持論の執着などがあり、結果、より患者を苦しめることとなりました。
2001年になって、熊本地裁で「らい予防法」の違憲性を国が認める判決を出し、その報道を覚えている方も多いと思います。
そして2019年、患者家族の集団訴訟で、同上地裁が国の責任を認めたことは記憶に新しいことです。
在所患者への強制的な断種手術がおこなわれていたことを、ニュースで知り驚いた方もいると思いますが、これも光田氏によるものでした。
当時、「患者の感染力は非常に弱く、隔離の必要はない」「けっして不治の病ではない」と強く主張した、小笠原登というらい病研究者と議論を戦わせ、彼を屈服させたという「光田派」。
特効薬プロミンが開発されたのちも、患者の「隔離」は変わりませんでした。
光ある功績のいっぽう、たいへん陰の多い人物だったようです。


この大変すぐれた、細かく情報を集め、あくまでも「患者側」に立って書かれた本ルポですが…。
当時、朝日新聞高松局に勤務していた筆者が、20代の頃に掲載した記事を編集したものだそうです。
ハンセン病に限らずですが、長い歴史を持つ物事はたくさんありますが、ここ20年ほどで一気にあらゆるものの空気感はかわったなあ、と感じます。



今なお、さまざまな想いを持って、多くの人たちが八十八カ所参りのため、四国に集まります。
ここ最近は外国からのお遍路さんも多くなったように思います。
時代により、その願いは移り変わるのかもしれませんが、本質的な人間の思いや幸せはけっして変わらないのではないでしょうか。


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以前からご報告しているように、わたし自身、体調が思わしくなく
あまり多く仕事ができなくなってしまいました;;
(ブログやショップの更新もなかなか…)(;><)
思いついて、子供の時に読みたかったけど読めなかった本、
トラウマ?になった本を、少しずつ読みかえしていました。
ときどきこのようにご紹介したいなと思います。
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タグ:book
posted by 宮崎佐和子 at 18:28| Comment(0) | BOOK